経済、文化、流通などが急速にグローバル化したことで、多くの企業が「英語の話せる人材」を求めています。
小学校の子供の英語教育は、2020年度より「3年生からの英語授業」が必須となりました。
小さい子供をお持ちの保護者の方は、「英語教育はいつから始めたら良いのだろう?」という関心をお持ちのことと思います。
この記事では「幼児期の子供の特性」と「脳科学の研究」に基づいて、英語教育はいつ始めるのが効果的なのか?という内容をお伝えします。
あわせて、小・中学校の英語教育の現状と、子供の英語教育におすすめの教材もご紹介していきます。
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子供の英語教育はいつからすべき?
子供の英語教育は、遅くとも7歳までに始めることをおすすめします。
なぜなら幼児期の子供は、語学を獲得する「天才的な能力」を備えているからです。
繰り返すことが好きで、感覚的に何でも吸収するといった特性があります。
小さい頃からYouTubeやTVの英語番組などで英語に触れている子供たちは、発音がネイティブのように綺麗でしょう。
これは子供が「大人に無い能力」を発揮しているからです。
参考:体力向上の基礎を培うための幼児期における実践活動の在り方に関する調査研究
子供の英語教育を早期に始めるべき理由
子供の英語教育を早期に始めるのが「いかに効率的か」を、「幼児期の子供の特性」「脳科学の視点」からお伝えしていきます。
- 幼児は耳がいいから
- 子供の顎は柔らかいから
- 言語能力には臨界期があるから
- 成長するにつれて音を聞き分ける能力が低下するから
- 脳は3歳までに80%が完成するから
幼児は耳がいいから
幼児期の子供は、大人が聞くことのできない音を聞き取る能力があります。
幼児期の子供が英語を聞いてネイティブと同じように発音することができるのは、「英語の周波数を聞き取る能力」を備えているからです。
成長するにつれて、母国語の周波数を聞き取る耳へと育つため、大人になると母国語以外の音が聞き取り辛くなります。
- 日本語:125~2,000Hz
- 英語(US):700~3,700Hz
- 英語(UK):2000~12,000Hz
幼児期の子供は「16,000Hzの音を聞き取ることが出来る」と言われています。
ただし、その音を言語として聞く環境がなければ、この能力を維持することはできません。
幼児期にたっぷりと英語に触れることが、いかに大切かが分かります。
子供の顎は柔らかいから
10歳頃までの子供の顎は、柔らかいのが特徴です。
顎が柔らかいと、聞いた音を容易に真似することができます。
ただし日本語しか話さない生活を続けると、顎は日本語使用に形成されてしまいます。
この時期までに英語を発語する習慣を作っておくことで、ネイティブのように発音できる能力が維持されると言ってよいでしょう。
言語能力に臨界期にはがあるから
参考:Language Exhibits a Critical Period
言語能力には臨界期があります。
ある行動の習得が難しくなる時期
諸説ありますが、7歳までは言語を自然に獲得できると言われています。
9歳を過ぎると、能力は加速度的に落ちていきます。
この時期までに英語教育をスタートさせることで、無理なく自然に英語を習得する素地が作られると考えます。
成長するにつれて音を聞き分ける能力が低下するから
https://www.youtube.com/watch?v=Ts5QmtvSBTk&t=19s
アメリカのある博士による脳科学の研究結果を用いた、興味深い実験をご紹介します。
言語聴覚科学の研究者であるパトリシア・クール博士は、赤ちゃんがどの様に言語の音を獲得しているのかを調べました。
実験の結果によると、以下のことが分かったのです。
- 6ヶ月頃の赤ちゃんは、どこの国の言葉も聞き分けることができる
- 10ヶ月頃になると、母国語にない音を聞き分ける能力が低下した
- 赤ちゃんはまわりの人の言葉を聞きながら、音の統計を取っている
- 複数の言語でも音を区別して、統計をとっている
日本人はLとRの音はなく、「らりるれろ」にふくまれています。
「LとRを」聞き分ける必要がなかったので、区別する能力が育たなかったということになります。
反対に聞き分ける必要のある環境があれば、赤ちゃんはバイリンガルにもトリリンガルにもなれるということです。
脳は3歳までに80%が完成するから
脳科学者である茂木健一郎さんは「脳は3歳までに80%が完成する」と言っています。
ご本人の著書「5歳までにやっておきたい英語が得意な脳の育て方」にて、
5歳までに
- 大量の英語を聞くこと
- 英語を好きになっておくこと
のように、早期に始めることを奨励しています。
幼児期に英語教育をスタートさせることは、脳科学的にも効果があると言えます。
英語教育を早期に始めるデメリット
早い時期に英語教育をスタートすることに対しては賛否両論があります。
否定派の意見は主に次のような懸念です。
- 日本語と英語が混乱することで、日本語の習得に弊害がでる
- 言語を理解する力が二分されるので、年齢相応の言語運用力が育たない
- まずは、日本語で思考力を育てることが大事
確かにインターナショナルスクールスクールに通う子供たちに関しては、注意深く見守る必要がありそうです。
幼稚園や学校で使用する言葉は英語であり、日本語は第二外国語扱いとなるからです。
高校までインターナショナルスクールで過ごした場合、日本語能力が日本の学校で学んだ子供たちに比べて低くなることは容易に想像ができます。
ただし家庭内での英語学習や、週に数回の英会話教室で学ぶレベルでは「このような弊害はない」ということが、言語脳科学の見解からも明らかになっています。
参考:東京大学 酒井研究室
オランダの早期英語教育
オランダでは国を上げてバイリンガル教育に取り組んでいます。
Wikipediaによると、オランダでは人口の90~93%がバイリンガルであり、3ヶ国語、4ヶ国語話す人々も珍しくありません。
家庭内では幼少期から、積極的に英語のアニメを見せたり、絵本の読み聞かせをしたりするのが日常的です。
親世代が英語を話すので、子供たちにとっても、英語を話すのが当たり前の環境です。
小学校では3年生から、一般的に週4回の英語が必須項目。
小学校を卒業する頃には日常英会話ができるようになっています。
小学校の英語教育はいつから始まった?
小学校の英語教育は2002年度にスタートしています。
「生きる力」を育成するという目的で「総合的な学習の時間」が設けられました。
この結果、国際社会に関する学習の一環として、多くの小学校が「外国語活動」を取り入れました。
指導要領によると
- 外国語に触れる
- 外国の生活や文化に慣れ親しむ
といった内容で、小学校の段階にふさわしい、体験的な学習を行うよう配慮されたものでした。
外国語活動が必須化されたのは2011年度
外国語活動(英語)が必須化されたのは、2011年度です。
この年に施行された学習指導要領に基づいて、小学校5、6年生で年間35単位(週1コマ程度)の外国語活動が必須となりました。
担任の先生とALT (外国語指導助手) でのチームティーチングが主な形態で、
- 言語や文化についての理解
- 積極的にコミュニケーションを取ろうとする態度の育成
が目的であり、音声中心の授業でした。
2020年度からは英語が教科に
2020年度に施行された学習指導要領により、英語は小学校5、6年生で成績の付く「教科」となりました。
「聞く、話す」活動を中心に「読み、書き」の授業内容が行われています。
コミュニケーション能力を高めることが改革の目的であるため、授業では実際に英語を使ったやり取りが積極的に行われています。
担任の先生とALT、もしくは英語専科教員と担任の先生によるチーム指導で、年間に70単位(週2コマ程度)の授業が行われています。
加えて、小学校3、4年生は年間35単位(週に1コマ程度)の外国語活動がスタートしました。
担任の先生が授業をすることになっていますが、現在はALTの先生がサポートに入る学校が増えています。
また2021年度には、中学校で英語教育の改定が行われました。
中学校での学習範囲が広くなり、習得すべき単語は2倍へと増えました。
中学校の英語教育はいつから始まった?
中学校の英語教育は、1951年に中学校で選択科目として再開されました。
1960年代には英語の履修率がほぼ100%となり、事実上の必須項目になりました。
背景としては、1955年以降の高校入試の試験科目に「英語」が加わったこと、高校への進学率が高まったことが考えられています。
2021年度にはオールイングリッシュでの授業に
2021年度には中学校の学習指導要領改定が施行され、中学校の英語の授業は「全て英語」で行われるようになりました。
先生から生徒への質問、生徒同士の話し合い、発表なども全て英語です。
中学校で習う学習範囲にはかつて高校で学んでいた内容が加わり、習う単語数は2,500語。
以前の2倍になりました。
高校入試では、スピーキングテストを導入する学校も増えています。
中学校の英語の授業で自分の意見をしっかりと伝えるためには、小学校までに英語の4技能の基礎をしっかりと固め、土台を作っておくことが大切です。
正式に必須項目になったのは2002年度から
中学校で英語が正式に必須科目になったのは、2002年度の学習指導要領からです。
文部科学省はこの年の改定で、「子ども達が21世紀を生き抜くためには英語のコミュニケーション能力を身につけることが不可欠」とし、英語が使える日本人の育成といった行動計画を立てました。
この計画により、英語の授業は「長文を読んで訳す」といった文法中心の内容から、コミュニケーションを重視した「口語表現」を使った教科書へと変化していきました。
子供の英語教育におすすめの教材3選
ここでは、家庭でできる英語のおすすめ教材を3つ紹介します。
お子さまの「好き」に寄り添って、それぞれの家庭で「目的」に合ったものを、無理なく継続できる教材を選ぶことをおすすめします。
- ミライコイングリッシュ
- ディズニー英語システム
- ABCmouse English
ミライコイングリッシュ
ミライコイングリッシュは、毎日30分英語のDVDを見るだけで英語を学ぶ習慣を身に着け、自ら英語を学ぼうとする姿勢を育む教材です。
対象年齢は0歳~8歳。
- NHKのラジオ英会話元講師による監修の元、5年間かけて作られた充実した内容
- オールイングリッシュで音声はネイティブ
- 英語を英語のまま理解する英語脳の育成が期待できる
- 大量のインプットができる
- フォニックスをしっかり学べる
- 映像には字幕がついているので、文字と音のつながりが分かるようになる
- 英語教育を家庭でスタートしたいけど、毎日忙しくて学習に付き合う時間がない
- まずは、英語を楽しんで学習して欲しい
- 英語を学習する習慣を付けたい
- 英語を好きになって欲しい
- できればフォニックスも学ばせたい
ディズニー英語システム
ディズニーの英語システムは英語教育に興味のある保護者の方であれば、既にご存知の教材でしょう。
最も効果がある教材として、選ばれる1つであることは間違いありません。
- 40年間の歴史があり、支持され続けている
- 実際にバイリンガル教育に成功している家庭がたくさんある
- 教材に子ども達の大好きな、ディズニーキャラクターがあふれている
- 映像と英語の意味が一致しているので、日本語を介入させない
- 幼児が言葉を覚えるプロセスで、英語が自然に身につく
- 使われている日常英会話は、中学校の文型や文法までカバーされている
ディズニー英語システムを始めて「4歳で英検5級に合格した」などといった話は珍しくありません。
本気で英語教育に取り組みたいと考えている保護者の方におすすめです。
対象年齢は0歳~12歳。
言語を習得するには2,000時間の英語を聞く必要があると言われています。
1日1時間で、年間365時間です。
2,000時間を達成するには6年間かかります。
ABCmouse English
ABCmouse Englishは、スマホやパソコンでどこでも気軽に学習できるデジタル英語教材です。
- 早期教育の専門家が監修している
- 母国語を学ぶ順番なので、無理なく自然に英語を習得できる
- アクティビティが豊富で夢中になるコンテンツ
- 兄弟3人までアカウントをシェアできる
- 保護者セクションで子供の学びの進捗状況を確認できる
体験型の学習法なので、子ども達は楽しんで学習してくれるでしょう。
英語初心者から中級者まで、レベルが4段階にわかれているので、いつからでも始めることができます。
対象年齢は3歳~11歳。
5,000以上の豊富な内容、で飽きず継続することができます。
- お子さまのレベルに合った英語教育からスタートしたい
- 体系化された内容で、語学力のステップアップを期待している
- 「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能の基礎を固めたい
- 英文法や、文型も自然にマスターして欲しい
まとめ:英語教育は幼児期からスタートすることが効果的
英語教育は幼児期からスタートすることが効果的です。
幼児期の子ども達は、大人が想像するよりも遥かに天才的な能力を備えています。
ただし、言語を「自然に獲得できる時期」には限りがあります。
小学校で始まった英語教育も、体系化されるにはまだまだ時間がかかりそうです。
まずは家庭で、英語に触れることから始めてみてはいかがでしょうか?
幼児期から、楽しんで英語学習を継続できる環境づくりは、子ども達の未来の可能性を大きく広げることでしょう。